■ 京都CDL機関誌「京都げのむ第2号」

特集:京都売ります! > 試読

● PART 1 鑑定・発掘!「問題物件」 > 試読
景観、高さ、環境破壊…かつてあれ程までに京都中を騒がせた「問題物件」たち。
しかし喉元すぎれば何とやら。今は側を通っても気づかない。
だとすればあれほど熱狂した「問題」とは果たして何だったのだろうか。
そんな京都名産「問題物件」を徹底的に味わい尽くせ!

● PART 2 京都「買います?」
「京都には、何かよそにはない価値(ねうち)がある」と信じている人がいる。
しかしそれがいったい「どれくらい価値があるのか」、
だれもハッキリさせてくれない。だから問いたい、
あなたにとって「京都の価値」はいくらですか? 京都にはそれだけ払ってでも「住む価値」がありますか?




定価 800円(税込)

■ 目次

巻頭グラビア
あの問題物件(ひと)は現在(いま)

巻頭論考
京都のまちづくりの歴史的争点を顧みて 広原盛明

特集:京都売ります!

● PART 1:鑑定・発掘!「問題物件」

現代京都価値判定
「問題物件」食い尽くしツアー
SINCE 1964 「京都タワー論争をめぐって」
寒風鼎談
「問題物件」MAP&CHRONICLE
問題物件プラスワン

● PART 2:京都「買います?」
京都まるごとHow Much !?
京都家賃格差マップ
京都家探し体験ルポ
読者アンケート:お家と私

● CDL 01AUTUMN-02SPRING
Review: 2001年秋季シンポジウム
 基調講演 河内隆
 町家再生 木下龍一
 公共建築デザイン指針 松田彰
 集住秩序の再編 高田光雄
京都CDL地区調査分析2001
CDLちくびでこん
鴨川フェスタ2001
地区イチオシ第一弾
クロニクル=事務局日誌
CDL NEWS

● 連載
京都私的探求
通りゃんせ
京都メカニズム
京都黒穴
CDL不動産
留学生座談会
京都やま企画
「京都人だけが知らない」建売り住宅小史 小林大祐
コンペの墓場:新T美術館コンペ
げのむギャラリー:建築畑
京都文学アーカイブス100
京都データベース:銭湯


書評:

 一昔前に少年時代を過ごした者にとっては「遺伝子」というコトバは何か決定的
なもの・逃れがたく未来をあらかじめ定めているものを思わせた。すべては「遺伝
子」によって定められている。ぼくの顔がウリナリなのも、あの子ができすぎた優等
生なのも、浮気ごころがさわぐのも、カエルの子はカエルなのも、すべて遺伝子に
よってあらかじめ決まっている、という訳だ。
 それと相前後して、そのまちにおいて繰り返し引用・参照される意匠や無意識に
反復される空間配置や動態変化のパターンをわざわざ「都市の遺伝子」と呼称するこ
とが流行ったことがある。
 矢のように進む科学の「進歩」は、まもなく遺伝子を、そうした「運命」から解
放した。遺伝子は何か可能性のようなものをはらむ、それ自体可塑的な(たとえばウ
イルスなんかで書き換えられてしまう程度の)ものだと知れた。そしてほとんどが、
使われもしない「クズ遺伝子」だということもわかった。遺伝子は、(m−RNAな
んかに)読みとられなければ、生き物を形作るどの細胞にも、どのタンパク質にも、
つながっていかないものなのだ。
 語源に関する一つの見解は、「遺伝子」を意味する「ジーン(gene)」と、ギリ
シア語で「総体」を意味する「オーム(ome)」とから、「ゲノム(genome)」とい
うコトバが合成されたと教える。私の手を、耳を、脳髄を、足の爪を生み出す「きっ
かけ」となる遺伝子が存在する。結局何にもならない遺伝子もある。そのどれもをあ
わせたあらゆる遺伝子=可能性の総体。
 17世紀のライプニッツ以来、都市は、読み解く人によって姿を変える「可能世
界」そのものの隠喩だった。今日、あらゆる都市ではなく、とある都市の名と、あら
ゆる遺伝子=可能性の総体を表すコトバが結びつけられている。まるで人ゲノムのよ
うに。そしてこの都市のゲノムに含まれるすべての遺伝子=可能性もまた、読みとら
れなければ、何にもつながっていかないものだ。
 時代の変転期に生まれたものの未来が順風満帆であると誰が証言できよう。可能
な都市の、可能性の一片はそれでもこうして手にすることができる。
 『京都げのむ』。容易ならざる本が現れた。